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落下の運動方程式を無次元化する

October 30, 2020

自由落下する物体に抵抗kvkvが働く運動方程式(1),(2)式を無次元化して解く。

md2xdt2=mgkv(1)m\frac{d^2x}{dt^2}=mg-kv\tag{1}

(1)式を無次元化しよう。また、vvで表すと(2)となる。

mdvdt=mgkv(2)m\frac{dv}{dt} = mg-kv \tag{2}

ここでは5つの手法での無次元化の方法を紹介するが、どれも結果は同じだ。少し遠回りするのも重要である。

(2)式を無次元化

1.m,v,tm,v,tで無次元化g,kg,kも無次元化

m,v,tm,v,tを無次元化する。

変数 基準量 無次元量
mm mm m~=m/m=1\tilde{m}=m/m=1
vv V=mg/kV_{\infty}=mg/k v~=v/V\tilde{v}=v/V_{\infty}
tt τ\tau t~=t/τ\tilde{t}=t/\tau

vvの基準量は終端速度V=mg/kV_{\infty}=mg/kとするば良さそうだ。ttの基準量はよくわからないのでここでとりあえずτ\tauとでもおいておこう。後で具体的なτ\tauを決めれば良い。もしvvの基準量の選び方が恣意的だと思うのなら最後のやり方でvvの基準量を一般にVVとおいて行う。

(2)式へ代入する。

mm~dv~dt~Vτ=mm~Vτg~mm~Vτk~v~dv~dt~=g~k~v~(3)m\tilde{m}\frac{d\tilde{v}}{d\tilde{t}}\frac{V_{\infty}}{\tau}=m\tilde{m}\frac{V_{\infty}}{\tau}\tilde{g}-m\tilde{m}\frac{V_{\infty}}{\tau}\tilde{k}\tilde{v}\tag{3}\\ \frac{d\tilde{v}}{d\tilde{t}}=\tilde{g}-\tilde{k}\tilde{v}

[g]=LT2,[k]=[MT1][g]=LT^{-2},[k]=[MT^{-1}]から

g~=gVτ1k~=kmτ1(4)\tilde{g}=\frac{g}{V_{\infty}\tau^{-1}}\tag{4}\\ \tilde{k}=\frac{k}{m\tau^{-1}}

(4)式を(3)式へ代入する。

dv~dt~=kmτkmτv~\frac{d\tilde{v}}{d\tilde{t}}=\frac{k}{m}\tau - \frac{k}{m}\tau\tilde{v}

よって右辺のkmτ\frac{k}{m}\tauを1になるようなτ\tauを選べばいいので

τ=mk\tau = \frac{m}{k}

とすれば良い。

つまり

dv~dt~=1v~(5)\frac{d\tilde{v}}{d\tilde{t}} = 1 -\tilde{v}\tag{5}

となる。

2.m,v,tm,v,tで無次元化g,kg,kはそのまま

(3)式のようにg,kg,kの無次元化量をいちいち計算して再び代入していたわけであるが、実はそんなことをしなくても良いのである。

(1)式から

mm~dv~dt~Vτ=mm~gkvdv~dt~=τmm~V(mm~gkVv~)=gVτkmτv~=kmτkmτv~(6)m\tilde{m}\frac{d\tilde{v}}{d\tilde{t}}\frac{V_{\infty}}{\tau}=m\tilde{m}g-kv\tag{6}\\ \frac{d\tilde{v}}{d\tilde{t}} = \frac{\tau}{m\tilde{m}V_{\infty}}(m\tilde{m}g-kV_{\infty}\tilde{v})\\ = \frac{g}{V_{\infty}}\tau-\frac{k}{m}\tau\tilde{v}\\ =\frac{k}{m}\tau-\frac{k}{m}\tau\tilde{v}

これからもτ=m/k\tau=m/kと求まる。

3.v,tv,tだけで無次元化

さらに言うと、mmの無次元化もここでは必要な操作ではなかったのである。無次元化に注目する変数v,tv,tだけ無次元化すればよかったのだ。

4.vvの基準量:V

最後にVV_{\infty}を基準量として最初から設定しない場合から無次元化してみよう。

md2v~dt~Vτ=mgkVv~dv~dt~=gVτkmτv~m\frac{d^2\tilde{v}}{d\tilde{t}}\frac{V}{\tau} = mg-kV\tilde{v} \\ \frac{d\tilde{v}}{d\tilde{t}} = \frac{g}{V}\tau - \frac{k}{m}\tau\tilde{v}

よってτ=m/k\tau=m/kとなるのでV=mgk=VV=\frac{mg}{k}=V_{\infty}となる。

(1)式を無次元化

5.vvの基準量:VV_{\infty}

(2)式は次のようにも表せることは言うまでもない。ではそのような形式でも無次元化したらどうなるだろうか?

md2xdt2=mgkdxdtm\frac{d^2x}{dt^2}=mg-k\frac{dx}{dt}

ここではVV_{\infty}のようなわかりやすい基準量がないため、x,tx,tの基準量をそれぞれχ,τ\chi,\tauとする。

md2x~dt~2χτ2=mgkdx~dt~χτd2x~dt~2=gχτ2kmτdx~dt~m\frac{d^2\tilde{x}}{d\tilde{t}^2}\frac{\chi}{\tau^2}=mg-k\frac{d\tilde{x}}{d\tilde{t}}\frac{\chi}{\tau}\\ \frac{d^2\tilde{x}}{d\tilde{t}^2} =\frac{ g}{\chi}\tau^2-\frac{k}{m}\tau\frac{d\tilde{x}}{d\tilde{t}}

これで右辺の量を1になるようなχ,τ\chi,\tauはそれぞれ

χ=gm2k2(=Vτ)τ=mk\chi = \frac{gm^2}{k^2}(=V_{\infty}\tau)\\ \tau = \frac{m}{k}

となる。面白いことにχ\chiτ\tauの間に終端速度で進む距離と等しい。これは偶然なのだろうか。

以上より無次元化した式は以下のように求まる。

d2x~dt~2=1dx~dt~\frac{d^2\tilde{x}}{d\tilde{t}^2} = 1-\frac{d\tilde{x}}{d\tilde{t}}

falling-equation-v

幸いにもx(t)x(t)は解析的に求められるので求めておこう。(5)式から

x~(t~)=t~et~1\tilde{x}(\tilde{t})=\tilde{t}-e^{-\tilde{t}}-1

となることが確認できるだろう。

falling-equation-x